血管の解放端から出た赤血球は、若い小型なガン細胞と混在し、両者の間に移行像が認められる。
子宮ガン腫の特徴といわれているガン細胞の集塊すなわちガン巣(上方の左右2個)が、下左方の血管(内部に血球あり)と血球から移行したり、また右下方にガン巣が出来始め(組織中の血球のたまり場、または静脈洞)、その中の血球が融合と分化によってガン細胞の集まりすなわちガン巣の形成を始めている様相を示す。
5週間絶食させたカエルの卵巣内にある1個の卵細胞の左上方一隅を拡大。卵黄球( a )(写真の中央から右方にかけて赤色の卵黄球とその周囲にメラニン顆粒が現れている)から左方にかけて、ぼんやりとした細胞核( b )にそれらが変化し、次第に左方へはっきりとした血球の核( c )へ変化し、ついには左方から上方にかけて赤色の細胞質とやや細長い核をもった典型的な赤血球( d )へ逆分化している様相が明瞭に示されている。
(5週間絶食したカエル卵巣表面の一部)
写真中央に1個の逆分化中の卵細胞がある。その中央の卵黄球( a …赤色)がその周囲のものからだんだんメラニン色素顆粒( b …黒色)を生じ、ついでそれらは細胞を新生し、丸い暗褐色の細胞核と赤い細胞質をもつ赤血球とやや淡赤色の細胞質をもつ若い赤血球( c )を新たに生じ、それらは血管によって運び去られ( d )、卵細胞や卵巣は次第に萎縮する。この卵細胞の周囲に6個の卵細胞が散在しているが、これらも順次、血球へ逆分化する。(新しくできた卵細胞からまず逆分化を始める。)
(12日間絶食したネコの股骨骨髄)
大きな脂肪球( a )の中に多数の丸い細胞核をもった血球母細胞(赤芽球)のかたまり( b )が現れ正赤芽球となり、それがさらに胞子形成様過程で、多数の無核赤血球となり、連続して血管( c )となり運び去られる。
(5週間絶食したカエルの脳の一部)
明るい細胞質(これはリポイドの多いことを示す)と濃染する丸い核をもった脳細胞( a )が、長い絶食によって赤染する細胞質をもった赤血球へ逆分化する。各種の移行段階( b・c )が見える。
(5週間絶食させたカエルの脊髄組織)
中央からやや右で、右上方から左下方へ向かって赤色の毛細血管( a )が逆分化によって現れ始めている。その内部には2個の赤血球がはっきり現れている。この左右には多数の神経繊維が縦走しているが、その中にも赤血球が現れかけた移行段階が見える。
(9日間絶食させたニワトリヒナの股骨骨髄)
栄養の良いときは血球および血液から軟骨組織→硬骨組織へと変わるが、絶食するとその逆に分化する。 硬骨中のハーベル氏管( a )(これは始めの間は血液の通路)が絶食によって著しく拡大し、骨組織は軟骨組織( b )に変わり、さらに硬骨組織( c )に、さらに血球へ逆分化する。 骨髄は薄い骨稜( d )によって囲まれ、骨は多孔性となり脆くなる。
ニワトリ胚子発生初期の卵黄嚢表面の一部。下方にはやや大形の卵黄球( a )があり、上方に行くにしたがって細かく分れ、次第に細胞核が出現し、次いでそれが赤血球となり、血管( b )によって運び去られる。この場合、まだ血管壁は形成されていない。卵黄と連続している( c )が、若い赤血球が多数集まり( b )、後には血管壁をもった血管に成る。卵黄嚢造血は最初の造血であるが、人の卵では卵黄が少ないのでほんの形だけであるが、ニワトリやカエルのように卵黄の多い卵では非常に盛んに行なわれる。細胞分裂は全くない。
卵黄嚢造血に次いで胎盤造血が行なわれる。人間や哺乳類では妊娠全期間を通じて胎盤造血が行なわれる。図の右上方は親の子宮壁内面( a )の一部で、そこから親の血液は子宮内へ放出され、その血球は集まり、溶け合って絨毛の原基( b )を造り、その絨毛の内部から胎児の血球(赤色に見える)が造られる( c )。