母親の赤血球( a )が、胎盤絨毛の表面( b )に附着して、その部の細胞に変り(細胞新生)、絨毛の内部の細胞から赤血球(赤色)へ変る( c )。ここにも細胞分裂は全くない。細胞新生による。
(ヤギの小腸絨毛の中ほどを、縦断したもの)
絨毛の壁細胞( a )は内側になるに従って大きくなり、核も膨大し( b )、染色性も変化してエオシンに赤染するようになり、更にそれが数個の無核赤血球に分れる( c )。それはあたかも胞子形成過程のようである。ここにも細胞分裂像は見られない。発生時期に応じて造血部位は転移する。造血は最初、卵黄から、次に胎生時代は親の血球から、そして生後は親の血液補給が断絶されるので、食物から腸の絨毛で造血されるわけである。そして造血に共通することは卵黄嚢も胎盤も、そして腸も消化器官と密接な関係があり、しかも何れも絨毛をもち、細胞分裂像を示していないことである。
(カエル幼生、孵化当日の心臓の内部)
約10個の赤血球の出来始めのものがある。何れも表面から見て20~30個の卵黄球の塊である。一部のものは核(ヘマトキシリン染色のDNAを含む)の出来始めも見られる。数日後にはこれらはすべて完全な赤血球となる。
(カエル幼生の尾部)
やや濃い赤色の顆粒すなわち卵黄球( a )が、縦に並んでAFD現象によって稍淡赤色の横紋筋線維( b )へ変わっている様相が明瞭に見られる。諸所に横紋が現れ始めている。卵黄が完全に消費された後は赤血球が卵黄球の代わりの役を果す。
(孵化5日後のオタマジャクシの腸の横断面3個)
腸壁形成の最初は、オタマジャクシの腹部(卵黄球で充満している)には腸その他の内臓は全然無いが、腸の原基ができると腸壁は卵黄球だけから成っている。卵黄球は管腔に向って垂直方向に並び、それが融合して腸壁の細胞を新生し、外壁には卵黄球から赤血球への分化も見られる。腸内には食物(ケイソウその他)が見られる。同一個体でも腸壁形成に早い遅いの差がある。この図では( a )→( b )→( c )の順序である。( c )は腸壁の細胞が殆んど完成に近い。
形成初期の腸壁は卵黄球(赤色)が縦に配列して( a )、それらが1個の円柱状上皮細胞を新生する。未完成な腸内にもすでに食物が多い( b )。これらの食物は消化されて腸内面に附着して、絨毛の形成に役立つ。
(生きたマウスの肝臓に実験的に切創をつくり、10日後に創傷部の切片標本製作)
左上方から右下方に向ってクサビ状になっている明るい部分( a )は、創傷部に出血した血球から生じた結合組織である。下方には新生した数個の血管の断面が見える。( b )は正常の肝組織である。
長良川に棲む淡水カイメン組織の塗抹標本をギームザ氏液で染色したものである。明るく見えるクロレラ(単細胞緑藻類)が自動的に集まり、集団を形成し( a )、次第にその内部に紫色に染色するカイメン細胞の核を新生する( b )。下方中央やや左のカイメン細胞( c )の核内にはまだ1個のクロレラ(黄白色)が残存する。これも最後には核に変化してしまう。
有機物を含む水の表面に生じた細菌の膜(菌膜)を静かにそのままカバーグラスに採り、固定しギームザ氏液で染色したもの。( a )…細菌(一種の腐敗菌)の集団、( b )…細胞構造を形成し始め、( c )…ゾウリムシ新生の初期(これは後に旋毛を生じ活発に水中を泳ぐ)。もっとも、新生途中の後期及び生長したゾウリムシは分裂することもある。